
インプラント HOME > 危険な国産10万円インプラント
歯科医院を取り巻く環境が、年々厳しさを増してきたからでしょうか。
手っ取り早く集客する手段として、「国産10万円インプラント」を導入する歯科医院が増えています。これは上に乗せる歯を含めて、「1本あたり10~28万円」というインプラントです。
果たして、このようなインプラントは安全、そして本当に激安なのでしょうか?
かつて10数年前にある有名国産メーカーが、販売したインプラントで悲惨な結果を招いたことは、歯科医師ならば誰もが知っている事実です。現在でも、その後遺症に悩まされている患者さんもいます。
その教訓から多くの歯科医院で、圧倒的な臨床実績を誇る海外製インプラントが使われています。
この1本あたり10~28万円の国産インプラントが、本当に問題ないものなのか、それとも以前のように、悲惨なトラブルを引き起すのか、明らかになるのは、あと20年くらい先でしょうか。その結果を証明するのは、「国産10万円インプラント」で治療を受けた患者さんです。言わば、実験台と言っても過言ではないでしょう。
先日問題となった、銀座のレーシック(近視矯正手術)眼科医院での事故は、記憶に新しいかと思います。
失明を含め多くの患者さんが被害に遭い、被害者が増え続けて、一体この先どうなっていくのか全く見当も付かない状況です。この医院は費用が相場よりもかなり安く、手軽さからか、患者は薄々疑問を感じながらも、治療を受けていたのです。そして、心配していたことが現実となってしまいました。果たして、「国産10万円インプラント」は大丈夫と言い切れるでしょうか。
それでは、国産10万円インプラント(10~28万円)を具体的に取り上げてみます。
まず、注意すべき点は、国産10万円インプラントにも「1回法」と「2回法」があるということです。


1回法は極端に症例が限られてしまうために、結局、ほとんどの患者さんに、2回法を勧めることになります。
「国産10万円インプラント」も2回法だと、実はそれなりに費用がかかります。
全ての「国産10万円インプラント」で2回法は、1本あたり10万円でなく、歯を乗せて23~28万円です。
ただし、今後、経営が逼迫した歯科医院で「2回法 15万円」という所が登場する可能性は充分にあります。
この方は、神戸市から来院された方です。
年間治療本数3,000本(証明できるものは無い)で、インプラント学会指導医・認定医と宣伝する、都内の有名激安インプラントセンターにて、2回法(1本28万円)を勧められ、1年前に治療受けました。
この画像をご覧ください。


写真の患者さんは、上下合わせて16本の歯を失っています。国産10万円インプラントは、強度に問題があるためか、「失った歯と同数のインプラントを入れる」のが特徴です。そのため見積書では、合計16本の国産インプラントを埋入することになっています。ちなみにブローネマルク・インプラントやストローマン・インプラント(ITI)は、失った歯の数よりも少ない本数での治療が可能です。
今回のケースでは、当院で使用している“ブローネマルク・インプラントやストローマン(ITI)インプラント”を使用しますと、本数は合計9本で済みます。


どういう訳か、661,500円の値引きがありましたので、費用は総額4,200,000円(セラミック)となっています。
そこで2回法で、国内最安値の「1本23万円」に設定してみましょう。
これが国産10万円インプラントの実態です。
一般のインプラントの費用よりもかなり高額になってしまうのです。
そこで有り得ない話ですが、これを強引に1回法で治療したとしましょう。
1回法で、今回のケースを国内最安値の1本15万円で設定してます。
あくまでも仮定です。(経営が逼迫した歯科医院で、今後2回法でこの金額が出てくる可能性あり)
これでようやく激安インプラントとしての実感が得られる金額まで、落ちてきた気がしますが、しかし、270万円近くも費用がかかります。それに加え、今後のリスクも永久に背負い込むのです。
そもそも、国産10万円(10~28万円)インプラントとブローネマルクやITIを比べること自体がおかしな話しですが、参考までに取り上げてみました。インプラントは体内に埋め込むものです。熟考の上、歯科医院を選んでください。
この神戸のケースでは、インプラントが悪かったのか、結局16本でなく、14本のインプラントが埋入されました。本数が減ったにも関わらず、最初の請求額からたった“マイナス50,000円”に修正した請求書になっています。
ご覧ください。
しかも向かって右上から2番目のインプラントが、上顎洞に落ちています。またその左側の2本が近接しすぎて、実際は1本しか使用できません。
ソケットリフトをしていますが、この方法は上顎洞内の粘膜を目視できないため、このケースのようにインプラントを上顎洞内に落とす可能性があります。
10ヶ月待ったにも関わらず、結局4本のインプラントが、骨と定着せず、1本は近接しすぎて、骨内で使用不可。
撤去後の写真をご覧ください。

上顎でそのまま使用できるインプラントは、3本だけです。「国産10万円インプラント」は定着率が悪いのでしょうか。
この患者さんは、当院で撤去する前、数ヶ月間に渡り、左鼻から膿が出続けて、化膿がひどく、常時激しく痛むので、再治療または返金(既に220万円を支払い済み)をお願いしたら、このようなFAXが自宅に届きました。
当たり前の話ですが、私たち開業医は、ボランティア団体ではありません。
技術の提供に対して、報酬を頂くのは当然のことです。ただ、提供した技術が上手くいかなかった場合は、報酬を頂いている以上、患者さんが望めば、出来る範囲で、きちんとしたリカバリーをする義務があると思います。
「国産10万円インプラント」を使用している歯科医院側に、「どうせ安いインプラントだから」という思いが多少なりともあるとしたら、治療の始まりから終わりまでの間、本人が自覚しなくても、心に隙間が生じ、手抜きが出てくるかもしれません。
しかし、例えそれが生じたとしても、開き直りは許されるものではありません。
この度「国産10万円インプラント」を取り上げるにあたり、このような具体的な事例を出すかどうか、正直ためらいました。
しかし、患者さんの強い要望により、具体的なモデルケースとさせていただきました。
私は特定の歯科医院や「国産10万円インプラント」を誹謗するつもりは毛頭ありません。
私を含めて、開業医の戒めとしていただきたいと思っています。

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